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2017.03.12(Sun) DJ SHOTA インタビュー

インタビュー: Flume

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Flume (フルーム) の日本オフィシャル・インタビューをご紹介します!
[取材・文: 村上ひさし]

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グラミー賞を受賞したFlumeにインタビュー

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2017年2月18日 (アメリカ・LAの現地時間2017年2月17日)

➖➖➖アルバム『Skin (スキン)』に対するグラミー賞最優秀ダンス/エレクトロニック・アルバムの受賞おめでとうございます。授賞式に出席されてどうでしたか?

Flume: クールな体験だったよ。父親もオーストラリアから飛んできてくれて一緒に出席したんだ。お昼頃から出席して、僕が授賞したのは2時とか3時。終わったのは10時頃だから凄く長い授賞式だったけど、記念に残る1日になったよ。

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➖➖➖特に印象的だったパフォーマンスや会いたかったスターは?

Flume: お金の掛け方にビックリしたよね。The Weeknd (ザ・ウィークエンド) とDaft Punk (ダフト・パンク) の共演パファーマンスなども印象的だった。グラミー初体験の僕としては、ひたすら傍観しているって感じだったかな。特に会いたいスターはいなかったけど、セレブは周囲にいっぱいいたよ。父親と一緒だったから、僕は大人しくしていたけど(笑)。

➖➖➖これまで母国オーストラリアで多数の賞を受賞されてきましたが、グラミー賞ではまた違っていますか?

Flume: レベルが違ってるよね。世界に認められたという感じで。とはいえ、受賞云々はそれほど大切なことだとは思っていないんだ。勿論、受賞するのは嬉しいけれど、そのために音楽をやってるわけじゃない。うん、でも、やはり受賞するのは嬉しいよ。自分のやってることが正しかった、間違っていなかったんだと教えてくれる。

➖➖➖以前にアルバム制作はこの先しばらくしないと発言していたようですが、今回のアルバム『Skin (スキン)』に対するグラミー受賞で、少し考えが変わったりは?

Flume: グラミー賞を受賞したことで、やりたいように活動すればいいんだって確信を持つことができた。これまでも自分の思い通りにやってなかったわけじゃないけれど、いっそうその思いを強くしたんだ。ニュー・アルバムの制作にすぐさま着手したくないのは、前作『Skin(スキン)』の制作にとにかく時間が掛かったからなんだ。今は音楽を作ったら、すぐに発表したい気分かな。コラボなどにも興味があるし。

➖➖➖例えばどのようなコラボを考えていますか?

Flume: この間ロサンゼルスに引っ越したばかりだから、まだ具体的な計画はないけれど、何ができるかなって楽しみにしているんだ。ソフィー(英国人エレクトロニック・アーティスト)とは、普段からいろいろ一緒にやってるよ。彼もLAに在住で、オーストラリア・ツアーにも一緒に来てくれたんだ。

➖➖➖アルバム『Skin (スキン)』を振り返ってどう思われますか?

Flume: 時間は掛かったけれど、仕上がりにはとても満足している。ネクストレベルに上がれたなって思うんだ。ファースト・アルバム『Flume (フルーム)』は、あれはあれでクールだったと思うし、自分のスタイルを編み出すことができた。オンライン向けを想定していて、好評も得られたと思うんだ。でも『Skin (スキン)』に関しては、もっと広く主要なラジオ向けというか、メインストリームにも受け入れられている。全然スケールが違うよね。

➖➖➖アルバム制作時からラジオ向けを意識していたのですか?

Flume: うん、そこは確かに意識していたよ。オーストラリアからLAに来て録音したのもその狙いがあったからなんだ。LAでコラボをしたかった。アルバムにはそういったラジオ向けトラックもあれば、そうじゃないトラックも収録されていて、最終的にはそのバランスが上手く取れたんじゃないかなって思うんだ。

➖➖➖ゲスト・シンガーを選ぶ基準というのは?

Flume: いろんなケースがあると思うんだ。ディーヴァ系のパワフルなヴォイスが欲しい時もあれば、アルバムに参加してもらったリトル・ドラゴンのようなタイプもあるし。(リトル・ドラゴンの)ユキミ(・ナガノ)の声は、大好きなんだよね。ずっと共演したかった人。その願いが叶って、凄く嬉しかったよ。

➖➖➖Flume (フルーム)自身も歌っている?

Flume: けっこう歌っているよ。ほとんどがバックグラウンドで歌っているから、よく分からないと思うけど。自分の声を使ってサウンドを特徴付けたりするんだ。「フリー」というトラックなどがそうだね。でも、ヴォーカリストじゃないから、人前でマイクを握ったりとかはしないけど(笑)。

➖➖➖他の人が作っていないサウンドを作りたい、というのが大きな目標だったそうですよね。

Flume: それこそプロデューサーの醍醐味じゃないかと思うんだ。ユニークなタイミングやテクスチャーのサウンドを生み出したり。普段から音楽を聴いていて僕が一番興奮するのが、新しいサウンドや奇妙な音色を見つけた時なんだ。このアルバムを作る過程で次第に重要になっていったのが、一見突拍子もないような音色を使って、サウンドを上手く作り上げていくことだった。

➖➖➖同じような作風のアーティストで共感できるのは?

Flume: アルカはいいね。FKAツイッグスやKanye West (カニエ・ウェスト) の楽曲を手がけている。彼からは凄くインスパイアを受けている。彼が生み出すのは、まったく途方もない、誰も聴いたことのないようなサウンド。ソフィーにも言えてるよね。誰にも真似できない独特のスタイルをもっている。

➖➖➖アブストラクトなサウンドを重ね合わせつつも、最終的には曲として成立することを重視していますよね?

Flume: うん、僕の音楽の作り方って、曲を作る最初の時点では、機材を弄って奇妙なサウンドを作ったりとか、全然音楽的じゃないんだ。でも、そこから進めていくうちに、次第に曲の形が見え始めていく。最初は一部だけかもしれないし、ヴァースやコーラスだけかもしれないけれど。いつもサウンド面から取り掛かり、最終的に曲の形にしていく。いろいろ弄っているうちに出来上がるって感じかな。テクノロジーにすごく興味を持っているんだ。世界中の人が新しいプラグインを作ったりしているのに、ワクワクさせられるよ。ロシアにいる人が作ったプラグインを僕がダウンロードして、それを使って新しいサウンドを作り、レイヤー、エフェクトをクリエイトしたり。ひょんなことから素晴らしいものが誕生することもある。そうしたサウンド設計こそが、僕の最も興味あることなんだ。でも『Skin (スキン)』を制作する上での最大のチャレンジは、曲として成立する音楽を作るということだった。部屋にこもってソフトウェアや楽器を弄っているだけじゃなく、コーラスやブリッジなどを作って、曲を書くようにと自分を仕向けたよ。それは以前にはやっていなかったことなんだ。その結果、グラミー賞に結びついたわけで、僕にとってはとても励みにもなり、自信にもなったと思うんだ。

➖➖➖楽器の演奏に関しては?

Flume: 学校に入る以前からずっとサックスをやっていたよ。だから音楽的な基礎知識は持っている。曲作りで、シンセでコーラスを作ったり、大抵はコード進行から入るかな。

➖➖➖ダンス・ミュージックを作っているという意識はありますか?

Flume: 元々僕はクラブ・ミュージックを作っていたんだよ。ハウス・ミュージックやテクノなど、エネルギッシュなクラブ向け音楽を作っていた。Flume (フルーム)に関しては、サイド・プロジェクトという感じで、あまりクラブ向けとか考えていなかった。創造性を発揮する場所という感じかな。でも、そっちの方が脚光を浴びたんだから面白いよね。Flume (フルーム)として初めてフェスに出演した時は、物凄く不安だったよ。元々ダンスをするために作った音楽じゃなかったからね。でも初めてフェスをやった時「うわっ、これでみんな踊っちゃうんだ!」って驚いたよ(笑)

➖➖➖メイン・プロジェクトだったクラブ・ミュージックに関しては、今後はどうするつもりですか?

Flume: クラブ・ミュージックを聴いてて思うのは、一定のルールがあるってこと。クラブで掛けてもらうには、そのルールに従って曲を作らなければならない。そんなのつまらないからクラブ・ミュージックを作るのは辞めてしまったよ。ハウス・ミュージックは今でも大好きだけど、キックドラムがここに一定間隔で挿入されて、とかいった制約に捕らわれないで、自由に曲作りをしたいんだ。

➖➖➖例えばクラブ・ミュージックでは、どんなアーティストが好きだったのですか?

Flume: 幅広いジャンルを聴いてきたから、時期によってかなり違っているけれど、今でもよく聴くのが『ミニストリー・オブ・サウンド』のコンピかな。あとトランスもよく聴くよ。最初にプロディジーを聴いた時にはぶっ飛んだよ。ずっと長い間、彼らからはインスパイアを受けてきた。特に彼らのアルバム『ザ・ファット・オブ・ザ・ランド』(1997年)からは大きな影響を受けている。

➖➖➖そもそもエレクトロニック・ミュージックに傾倒したきっかけは?

Flume: サックスは吹けたけど、僕の聴いていた音楽はそれじゃ演奏できなかったのと、他の人と一緒じゃなきゃ演奏できなかった。いつもそれが悩みの種だった。もっと壮大な音楽を作りたかったし、アイデアも持っていた。という時に、エレクトロニック・ミュージックに出会って、ぶっ飛んだよ。自分ひとりでベースラインも、リードも、コードも、ドラム・サウンドだって作れる。自由を手に入れた気分だったよ。以来、夢中になって、学校から帰ってくるや否やビートを作ったりして、趣味でやっていたんだ。

➖➖➖EDMシーンの担い手という自覚はありますか?

Flume: EDMシーンに属しているとは、思ったことがないけれど、アメリカではエレクトロニック系の音楽は、すべてEDMと見なされているようなんだ。そういう意味では、僕もEDMかな(笑)。踊ることだってできるしね。でも、ヒップホップだって、エレクトロニック音楽であり踊ることもできるけど、EDMとは括られていないよね。よく分からないよね。

➖➖➖EDM系に近いとされるDJやアーティストで共感できるのは?

Flume: ケイトラナダはいいよね。バウワーがやってることも大好きだし、シュローモ (Shlohmo)もいいね。あとさっき挙げたアルカやソフィーも。

➖➖➖Flume(フルーム)風に似せたサウンドがあちこちで聴かれるようになっていますが、その先駆者としてはどういう気分ですか?

Flume: モロにパクリみたいなのを聴く度に、最初の頃はイラついていたんだ。でも、そのうち違うように思い始めてきた。そんなにパクリたいほど好かれてるんだって、ちょっと誇らしく感じたり。パクリたいなら自由にどうぞって感じかな(苦笑)。僕は自分のやりたいふうにやるだけ。追従したりトレンドは追いたくないよね。

➖➖➖ミュージック・ビデオやアート・ワークなどのヴィジュアルへの拘りについて教えてください。

Flume: 凄く大切なことだと思うんだ。一緒に仕事をする”Future Classic (フューチャー・クラシック)”(所属レーベル)のNathan (ネイサン) なども、そういうことを大切に考える人なんだ。ヴィジュアルはJonathan Zawada (ジョナサン・ザワダ) というアーティストが手がけてくれている。彼もオーストラリア人で、彼の作品が大好きなんだ。花を撮った作品など、どこまでが実写で、どこからがデジタルなのか区別が付かない。いろんな意見を出し合って、アイデアを交換しているうちに出来上がった感じかな。母親が園芸家だから、子どもの頃から植物の手描きなどが家中にあったんだ。ジョナサンの母親も園芸家で、彼も植物を使った作品を考えていたようなんだ。ライヴ・パフォーマンスにおける映像も、彼が手がけてくれている。

➖➖➖将来的に映画やサウンドトラックの制作にも興味がありますか?

Flume: もちろんだよ。映画やサウンドトラックにとても興味を持っている。中途半端なプロジェクトではなくて、全てを任せてくれるならやりたいね。ハリウッド大作だといいけど、短編でもいいかな。すごく興味を持っている。実は以前に、オーストラリアにいた頃、テレビCMの音楽を手がけたこともあるんだよ。父親が広告関係の会社で働いていて、テレビCMなどをたくさん手がけていたんだ。14〜15歳頃かな。住宅保険や銀行、毛じらみの薬のCMなんかを手がけたよ(笑)。映像に合わせて音楽を作ったのは、その時が初めてだったと思うな。確かに制約はあったけど、その制約の中で創造性を発揮するってことを学んだよ。

➖➖➖特にお気に入りのサウンドトラックは?

Flume: スカーレット・ヨハンソン主演の映画『Under The Skin (アンダー・ザ・スキン)』だね。ミカ・レヴィというアーティストが音楽を手がけている(映画『ジャッキー/ファーストレディ最後の使命』でもアカデミー賞候補に)。

➖➖➖音楽を手がけたい映画のジャンルは?

Flume: 暗い雰囲気で、少しSF的な要素のある映画だね。『Under The Skin (アンダー・ザ・スキン)』のような不思議な感じがいいな。でもエイリアン的ではなくて、美しい映像の作品かな。

➖➖➖日本文化も大好きだとか。もしかしてオタクだったり?(オタクの説明をすると)

Flume: アニメや漫画ファンではないけれど、自宅にいるのが大好だね。間違いなく、引きこもりだよ(笑)。いつもパソコンを弄ってる。でも海の近くで育ったから、サーフィンはいつもやってたし、自然に囲まれているのが大好きなんだ。

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DJ SHOTA
“DJとお客さんの架け橋になる” そんな思いを込めてスタートしたDJ HACKsがいつの間にか月間60万PVを達成。Googleでの「EDM」検索順位1位と絶大な支持を集めるようになっていった。 そしてDJ HACKsの成長と共にDJ SHOTAは2015年夏、DJ歴2年という異例のスピードで世界でも最大規模の野外フェス「electric Zoo Beach Tokyo」へ出演を果たす。 さらに2015年リリースしたEDM BEST MIXはiTunesチャート2位を記録するなど勢いを見せた。 2016年1月にはメイドインジャパンの国内最大EDMフェスティバル「electrox」にて若手ながら単独でオープニングアクトに大抜擢され一躍注目を集めた。 DJ HACKsでのあらゆる音楽を追求する姿勢はプレイスタイルにもダイレクトに反映され、まさに架け橋の如く様々なジャンルの”GOOD MUSIC”を繋いでいく。そのオープンフォーマットなスタイルを武器に多様なお客さんを踊らせ続け現場での支持率も急上昇中である。 DJとして音楽をプレイし、ライターとして音楽の良さを伝える、まさに次世代型ともいえるクロスオーバーはすべてにおいて新しく、未知なる可能性を秘めたDJ SHOTAの活躍に今後目が離せない。
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