EDMバブル崩壊!? 世界のフェス主催者が語る、EDMシーンにひそむ落とし穴

2015.01.27

今回は、SENSATIONやElectric Zooなどをはじめとした世界のフェスを手がける主催者が語る、
いまEDMシーンで何が起きているのか、その現状についてお話ししたいと思います。
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出典:YouEDM

ID&Tの創設者による EDMシーンに対する鋭い示唆

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出典:BLOGKLM
世界の有名な音楽フェスというと、みなさんいくつか思い当たることでしょう。
Ultra Music Festivalにはじまり、Tomorrowland、EDC、Electric Zoo、SENSATION、Life In Colorなどなど。
これら世界規模のフェスを手がける主催のイベント・プロモーション会社のひとつに、ID&Tがあります。
1990年代初頭にできたオランダのエンターテイメント会社で、3人の創設者のイニシャルをとって、ID&Tという名前になりました。
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出典:ANPPersSupport
SENSATIONやLIFE IN COLOR、MYSTERYLANDなどのヨーロッパの大規模野外音楽フェスを手がけてきた最大手のイベント会社です。
2014年にアメリカのSFXという同じくイベント・プロモーション会社に買収されましたが、今でもID&Tの功績はたたえられています。
EDMビジネスに大きく貢献してきたID&Tの創設者のひとり、Duncan Stutterheimが今回、EDMブームの現状について鋭い意見を述べました。
彼は、2014年ダンスミュージックシーンにおいてもっとも影響力のある人物ランキング50で5位にランクインしているほどの、いわばご意見番です。

2014年 ダンスミュージックシーンにおいてもっとも影響力のある人物ランキング 50
The 50 Most Powerful People In Dance Music 2014

これから意見を述べる大規模フェスの主催者がどれだけ影響力のある方かわかったところで、本題に入っていきましょう。

EDMバブルは今まさに「崩壊」しようとしている!?

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出典:SCANDINAVIAN MASTERING
EDMシーンのご意見番が現在のEDMブームに対して何を言うかと思えば、とても大胆な発言をしてきました。
「EDMバブルが崩壊しようとしている (EDM Bubble Is About To Burst.)」
世界中でEDMフェスがフェスがどんどん増え、盛り上がっているEDMシーンに、ガタがきていると言っているのです。
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出典:NEWS.COM
読者のEDMファンの方々はこれを見て一瞬、焦ったことでしょう。
「え、こんなに盛り上がってるのにEDMがなくなるの?」
たしかに日本のバブル景気をとって考えてみても、バブルの最中にいたバブル世代の人にとっては、バブルの好景気が弾けるなんて1ミリも考えなかったことでしょう。
それと同じようなものです。
EDMシーンに精通するえらい人が、ファンをがっかりさせるようなことを語っているのには、きっとわけがあるのでしょう。
では、なぜ今EDMシーンが崩壊寸前状態にあるというのか?

保たれなくなってきた3者のバランス

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出典:AnnaCoulling
EDMビジネスにガタがきている一番の原因は、EDMアーティストのギャラの高さにあります。
世界の大規模EDMフェスで、彼らの要求するギャラが高すぎるというのです。

マーケットの動向にあわせて利益を生んでいくのが、ビジネスですよね。
たしかに現在EDMブームの盛り上がりは世界的に見ても上昇していて、EDMビジネスの市場も拡大傾向にあるでしょう。
EDMフェスの市場に限って見た場合、そこにいるのは大きく分けて以下の3者が挙げられるでしょう。

EDMフェス市場
1. DJ・プロデューサー (出演アーティスト)
2. 主催者 (企画・主催するプロモーション会社、マネジメント会社)
3. 消費者 (フェスに遊びに行くお客さん)

このバランスがうまく保たれることによって、市場はどんどん拡大していきます。
出演するDJがギャラをもらい、主催者も利益を生み、そしてお客さんも満足するというようなモデルです。
逆に、このバランスが保たれなくなったとき、当然のことながらこの3者の関係と全体の市場自体がゆがみ始めるのです。

EDMアーティストは、これ以上高望みをするべきではない

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出典:EDM ASSASIN
現在、EDMアーティストのギャラがどんどん高騰しています。
そうすると何が起こるかというと、主催側が今以上に多くのお金を調達するしかありません。
その影響がどこまで及ぶかというと、消費者のチケット代にまで出ている現状です。
たしかに、EDMアーティストは高額なギャラに相当するほどの音楽をつくっていますし、トップパフォーマンスもする。
その名がフライヤーに載ってアナウンスされるだけでチケットが売れ、VIPのシャンパンボトルもポンポン空くわけです。
しかしその分、ギャラがかさむ主催側にとっては、うまくやりくりしなくてはなりません。
今まではそのバランスをとれるほど、うまく回っていました。
それが今では、フェスステージのデコレーションや照明のレベルを下げて調整したり、お客さんのチケット代を高くしたりしてバランスをとらざるを得ない状況になってしまっているようです。
2014年のULTRA MUSIC FESTIVAL MIAMIのチケット代は$500だったそうで、さすがにお客さんの購買意欲も低下したという事実があります。
フェスによってもそれぞれのやり方があるのですべてに当てはまるとは一概に言えないとも思いますが、多くのフェスやクラブイベントが抱える問題であることは間違いなさそうです。
3者すべてが満足するように回るよう、EDMアーティストたちはうまく立ち振る舞う必要があると、IDTの創設者は最後に述べています。
EDMアーティストたちは、さもなければ自分たちの生きていく道に黄色信号を灯すことになってしまいかねないわけです。

EDMシーンを盛り上げてきたのはだれ?
ID&Tの創設者に関して先ほど述べた話の続きとして、みなさんに知っておいていただきたいことがあります。
ひとつの事実として、ダンスミュージックシーンでもっとも影響力のある人物ランキングを参照する限り、DJや大手レコード会社のプロデューサーがランキング内に少ない、ということが見てとれます。
ランクインしているほとんどが、フェスに関わってきたイベント・プロモーション会社の人間なのです。
このことからわかるのは、EDMブームを盛り上げてきたのは、レーベルなどの音楽配信を行うレコード会社よりも、フェスを企画・開催してきたイベント・プロモーション会社であるといえます。
言われてみればたしかにそうかもなと思えるのですが、これが意外と知られていない事実です。
まとめ

いかがでしたでしょうか。
非常にインパクトのある記事だったので、参考にさせてもらいました。
このニュースは、EDMファンなら頭の片隅に入れておきたい内容です。
捉え方によっては語弊が生じるかもしれませんが、EDMが決してなくなるわけではありません。
ですので、EDMファンの方はご安心ください。
しかし、こういった問題で市場全体が崩れてしまうこともビジネスの世界ではありうるんですね。
これに関連した話にはなりますが、日本の音楽イベント・プロモーション会社だと、electroxやサマソニなどを手がけるクリエイティブマンが日本のフェス市場では圧倒的な勢いを見せています。
EDMフェスが増えるにつれて、この問題にぶち当たることが必ずあると思いますが、フェスを楽しみにしているお客さんたちに夢を届けるため、ぜひともがんばってほしいですね!
チケット代について、”ああだこうだ”言っている人には、この事実を教えてあげてください。
EDMブームをつくっているのは、何もEDMアーティストだけではありません。
消費者であるEDMファンのみなさん自身も、立派なEDMブームを支えているひとりなのです。

ソース元: YouEDM